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【第32回】 太陽光発電システムが映す真の損得

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 経済産業省は、住宅などの太陽光発電システムで発電した電気を、これから先約十年間、電力各社が一定価格で買い取る新制度を導入すると発表しました。当面の買い取り価格は、現在の倍額とし、早ければ2009年度にも新制度を導入して、普及促進を図りたい考えのようです。

太陽光発電システムの伸び悩み

 2002年まで、わが国は太陽光発電システムによる累積発電量は世界1位にありました。しかし、03年あたりからドイツに抜かれ、最近に至るまでその差は開く一方でした。太陽電池の生産量も、95年にアメリカを抜いて以来、長く世界一を保っていましたが、07年にトップの座を欧州に譲り渡し、企業別でもNO.1にあったシャープがドイツのメーカー・Qセルズに抜かれていました。

 地球温暖化対策が急務とされる中、化石エネルギーへの依存を、風力や太陽光などに切り替える必要が指摘されていたにもかかわらず、減少傾向にあったのです。欧州をはじめアメリカ、中国、インドと太陽電池の生産量はどこの国でも増えている中で、日本だけが前年比10%以上減少していました。普及をけん引してきた補助金が05年に廃止され、電力各社の自主性に任せる方針に切り替わったことが最大の要因です。20年かけてようやく元が取れるコスト的な問題も、消費者が二の足を踏んだ理由の一つでした。

 世界一に到達するほど、ドイツで住宅用太陽光発電システムが普及した理由は明快でした。04年6月の法改正で、太陽光発電からの電力買い取り価格を、日本の現行の買い取り価格よりも約3倍も高い1KW/時あたり約77円へと引き上げられたからです。この金額ならば、10年でもとを取れる上に、これが20年間保証されています。

大胆な発想転換を

 今回の新制度導入と、平成20年度から復活した住宅用太陽光発電システムへの補助金制度の相乗効果により、伸び悩んでいたわが国の自然エネルギーへの推進は、遅ればせながら息を吹き返すことでしょう。

 そもそも太陽光発電システムは世界に先駆けて、三洋が実用化に成功した日本生まれの技術です。にもかかわらず、こういった制度が必要となるということは、いみじくも「地球温暖化抑制のためになぜ個人が・・・」と、考えがちな日本人の意識の表れのように感じられます。メリットがなくては動かない。目先の利益優先。将来を見据えて動けない。国や企業、個人に至るまで損得勘定ばかり。
 もちろん、少しでも得したい気持ちはよく判り、私も偉そうなことを言えた立場ではありません。経済的な負担が増え、メリットが低いと感じられれば、いくら地球環境のためであっても敬遠するのは、至極当然のことと思います。

 今回の新制度では、電力会社の買い取り価格の引き上げに伴い、その分のコスト負担を広く消費者に求めることとなります。つまり、基本料金の値上げにより賄おうということです。当然これに対しても、設備を導入しない家庭から不満の声が上がるだろうと予測されます。けれど、太陽光発電システムがこの制度によって、ドイツのように急激に普及するのであれば、コスト負担する価値はあると思います。その分だけ、地球環境の悪化防止にお金を払っていると考えられるからです。

 損得で言うならば、地球環境にプラスになることが、個人にとってもプラスであることは間違いありません。それでも損だと考えるならば、自分の家でもシステムの導入を検討すればよいでしょう。それこそ、補助金もつき、電気の買い取り額も二倍となるため、従来よりも確実にペイしやすくなるのですから・・・。

 何もかもを損得勘定で判断する社会が、今回の未曾有の大不況の遠因を作り、地球温暖化を招いたとも言えるのではないでしょうか。ならば、そろそろ、そこから脱却する考え方に転換しなくては、不況も温暖化も今そこにある危機は収まらないでしょう。

このコラムーの情報

  • 2009/04/01

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