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【第37回】 長期優良住宅(4) 長期優良住宅の問題点

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 長期優良住宅について良いことばかりを述べて、問題点に触れないのでは片手落ちですので、もう一回分だけおつきあいください。

“長期”が持つ曖昧さに一抹の不安

 さっそく本題に入りますが―
 問題点の一つは、当初の“200年住宅”の名称が“長期優良住宅”にいつの間にか変わってしまったように、“長期”がどの程度の期間を指すのかが曖昧となったことです。
 とりわけ国土交通省のスタンスが、ひたすら堅牢な建築物をつくれという方向ではなく、一通り頑丈なつくりにして、あとは維持管理を徹底することで、もたせようとしていることが気がかりです。
 
 確かに、どのように堅牢な構造にしても、現実的に200年持つかどうか判断することはとても困難であり、お墨付きを与えたがために後々問題が生じる危険性も見過ごせません。その結果、落とし所としてメンテナンス重視の長期優良住宅となったのでしょう。
 しかし、これでは本筋から逸れる危惧が残ります。国が先導する以上、高いレベルに目標を置き、そこまで業者を引き上げることを考えなければ、いつまでたってもボトムアップは図れないと同時に、この国の住宅の質を根本から変えると云う崇高な目的も達成不可能となりかねません。
 しかも、長期優良住宅の根幹をなしているメンテナンスを実施するための住宅履歴などの保存期間が、30年を一つの目安としていることは見過ごせぬ問題点です。長期優良住宅と謳っておきながら、その実30年より先は預かり知らぬと宣言しているようなもので、あまりにお粗末と指摘せざるを得ません。

大幅なコストUPが普及の伸び悩みに

 二つ目は、コストの問題です。
 長期優良住宅を建築するには、基礎をより強固なものとしたり、柱や梁を太くしたり、高気密・高断熱化を図ったりと、従来の建物よりも建築費用がUPとなる要因を数多く含んでいます。より良い建材を用いるのですからコストUPになるのは当然ですが、国土交通省の試算では、一般の建物と比べて3割から1000万円もUPとなるとしています。しかも、その他に、1000万円以上のメンテナンス費が必要とされているのです。
 これでは絵にかいた餅はおろか、食えない張りぼての餅でしかありません。法律施行後ひと月を経過して長期優良住宅普及促進事業(100万円の補助金)の申請が、あれだけ注目を集めていたにもかかわらず、全国合計で128棟しかないのも頷けます。
 しかし、全国の工務店やメーカーの中には、3割もコストUPせずに、長期優良住宅を実現している実例も見受けられます。特に、早い時期から高気密・高断熱住宅を手掛けてきた企業は、一般の建物と競合するためにコストダウンを強いられてきた経緯があり、今になってそれが生きているようです。
 国は、補助金や税金優遇ばかりで推進を図るのではなく、こういった企業を普及促進事業の先導的モデルに据え、よい見本として全体的なコストダウンを推進するべきです。また、より耐久性の高いタイルやレンガなどの建材をふんだんに用いることを推奨すれば、それらの建材のコストが下がり、同時に1000万と試算されたメンテナンス費も圧縮可能となるはずです。

 以上、長期優良住宅の問題点を挙げましたが、その意義そのものを否定するつもりはありません。実際、これまで以上に長持ちする質の良い建物を普及促進するわけですから、地球環境にとっても、ユーザーにとっても有意義であることは疑いないのです。コスト的な問題も、すでに解決できている業者が存在する以上、そう云った業者が増えるものと予測します。
 使い捨て住宅から脱却し、より長く大切に、より豊かに、より優しく。長期優良住宅の理念を自分たちの住宅に活かすことが、サバイバル時代を勝ち残る知恵と云えるでしょう。

このコラムーの情報

  • 2009/08/27

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