某新聞社・夕刊から 「防災の日」

 大規模災害に備えるため、大阪府摂津市が、市内に事業所を置く全ての企業を対象にした【事業所防災ネットワーク】の立ち上げを検討していることが1日、分かった。企業の持つ人的、物的資源を把握することで、地域防災力を高める狙いがある。災害に対する企業の関わりが課題になる中、自治体が中小・零細企業も含めてた地域内の全ての企業を対象にした“民活防災”ネットワークを創設するのは異例だという。
 これまでも、自治体とコンビニチェーンなど、市町村と業界団体などが防災協定を結ぶ例はあったが、摂津市の取組は、市内の約3700の全企業を対象にネットワークづくりをするのが特徴。市は今月から市内の全事業に対し、防災ネットワーク参加の意向調査を始めるという。
 調査は、市の調査員が零細企業も含めた会社を直接訪問。防災ネットへの参加意向などの聞き取りを行う。年内をめどにメーリングリストなどを使った情報交換を開始。企業からの協力申し出があれば、市の防災計画にも組み込んでいく。
 将来的には、ネットワークで企業の設備や人員の状況を網羅的に把握。重機の保有状況などを確認するなどして、企業の人的、物的資源を災害時に有効活用することを目指すという。
 摂津市は府北部に位置する衛生都市で、昼間は通勤通学で市外に出る人口も約3万7千人いるため、市内の昼間人口は夜間より約1万1500人多い約9万5千人となっている。市の担当者は「災害はいつ起こるか分からない。企業がどんな設備や人員を備えているのかを把握するだけでなく、企業が持つ地域情報も活用しながら地域防災力を高めたい」としている。

 「企業市民」地域と一体
 

  住民とともに地域企業も網羅的に防災活動に組み入れようという大阪府摂津市の「事業防災ネットワーク」の試みは、「『企業市民』という意識を明確に打ち出した防災施策」として専門家からも注目が集まっている。
  企業の災害支援をめぐっては、平成17年のJR福知山線脱線事故で、現場近く
事業所が被害者救護に積極的に関与した事例などが、従来の市町村の防災活動は住民を中心に想定されてきた。
 企業の災害支援の可能性について、摂津市の担当者は「潜在的゜な情報を吸い上げて防災に活かしていきたい」と話す。

 ダイキン工業同市内に、工場を置く空調機メーカーのダイキン工業ダイキン工業

(大阪市北区)は、2年前から災害発生時に所有する消防車1台を提供する「市機能別消防団」に参加するなど、地域防災に協力してきた。
防災ネットについて「規模の大小にかかわらず、防災に取り組む仲間が増えることは心強い」(広報グループ)と歓迎する。
 同社淀川製作所(摂津市西一津屋)の末藤昌弘安全担当課長(54)は、「機械や化学工場があり災害によるリスクを抱えてる。東日本大震災以降、企業や住民が自ら防災力をつける必要性を強く感じている」とも話していた。
 地域防災に詳しい群馬大の片田敏孝教授(災害社会工学)は「企業が単に助ける側に回るのではなく、一歩踏み込んで『自分たちも市民なんだ』という意識をつくることが地域の防災力向上につながる」と話している。