電力危機 企業は開発に注力
スタッフ 2012年4月30日電機各社は東日本大震災の電力危機を契機に、家庭用蓄電池の開発・生産に力を入れているが、課題にも直面している。
「大型蓄電池の市場拡大は価格低下にかかっている」と、分析するのは調査会社の富士経済(東京)。安価なものでは、ソニーなどが携帯電話の充電を想定した10万前後の蓄電池を発売しているが、容量が小さく、非常時の生活用電源にはなりえない。大型のものでは、三菱重工が工場・再生可能エネルギー用のコンテナ型蓄電池を開発中。容量は408㌔㍗時と家庭用の約100倍だが、価格は約1億5千万円もする。そうした中、注目されるのが太陽光発電(PV)や電気自動車(EV)と蓄電池の組み合わせだ。
パナソニックが開発した「住宅用創蓄連携システム」は蓄電池をPVと連携。停電時には電力減を自動でPVに切り替えたり、PVから電力を蓄電したりすることが可能で、電気代節約や環境負荷低減につながる。
日産自動車や三菱自動車工業などはEVの蓄電池から家庭用蓄電池に電力供給するシステムと家庭の間で充電、放電という双方向の電力のやり取りで、実用化されれば、電力使用平準化貢献しそうだ。
電機各社も注目する大型蓄電池だが、性能・価格の両面で研究・開発の余地は大きい。←拡大ワンクリック!
ただ「企業や大学ごとの焦点がばらばらで、実用化への道筋が見えにくい」(技術者)と、国に対して大型蓄電池に関する施策の充実を求める声は強い。