電力不足で注目 冷暖房効率↑up
2013年1月26日 一口メモ, 夕刊記事から, 新製品, 時事朝晩の冷え込みが厳しい季節。
窓際に近づくと、外の冷気が部屋に染み込んでくる。朝には窓ガラスに結露がびっしり。
毎朝の窓拭きも一苦労だ。窓は住宅の中で熱の出入りが最も大きく、冷暖房の熱を逃がしてしまう。
そんな問題を解決するのが高い断熱性能を持つ「真空ガラス」。
関西電力が4月からの電気料金値上げを申請するなか、新製品も投入され注目が集まっている。
2枚のガラスの間にわずかな真空の層を設ける断熱ガラス。その構想は20世紀初頭からあった。
真空状態は熱がほとんど伝わらないため、魔法瓶と同じ原理で高い断熱効果が得られる。
大正7年に大阪市で設立されたガラス製造大手、【日本硝子】は、
基本構造を確立したシドニー大学のリチャード・コリンズ教授と平成6年にライセンス契約を結んだ。
しかし、量産化は難航。
「間を真空にすると2マイのガラスがくっついてしまう。
これを防ぐために0.2㍉のマイクロスペーサーを柱のように挟んでいます。
この小さい柱をどう等間隔に配置するかが量産化の最も高いハードルでした」と
同社営業企画グループの朝香寛さん(32)が話す。
開発は3年におよび、平成9年に「スペーシア」の名前で初めて商品化。
真空層に加え、ガラスの内側を特殊な金属膜(Low-E)でコーティングすることで、
断熱効果は通常の一枚ガラスの4倍。
冬に結露が、マイナス20度以下まで起きないという。
当初は、冬に太陽の光を室内に取り入れつつ、室内の暖気を外に逃がさない製品が求められた。
しかし、東日本大震災と原子力発電所の運転停止による電力不足で、夏場に日光を遮り、
冷房の効きをよくするガラスを求める需要が急速に高まった。
そこで昨年6月、日射遮蔽型のLow-Eガラスを使い、
太陽光を遮りながら室内の冷気や暖房を逃がさないように
改良した新製品「スペーシア クール」が投入された。
一般的なモデル住宅で同社が比較したところによると、大阪では一枚ガラスで年間約6万5千円、
複層ガラスで約5万2千円の冷房費が真空ガラスに換えると、約4万2千円に下がるという。
最近では住宅だけでなく、ガラス面積が広い高層ビルなどに活用されるほか、
ガラス張りの店舗を展開する大手飲食店チェーンにも採用された。
気になるお値段は、参考設計価格で1平方㍍で3万6750円(スペーシア 透明6.2㍉)と、
通常の複層ガラスに比べて5千円ほど高い。
しかし、省エネや耐久性を考えると、その差は縮まってくる。
ガラスの厚さが従来品と大きく変わらないため、いまのサッシが使えるのも利点という。
「リフォームする際、すべての窓を換えるのではなく、まず居間を換える方もいます。
そして効果を実感されて他のお部屋にも入れられる方も多いです」(朝香さん)
電力不足が今後も続くとみられるなか、価格とならんで普及の課題となっているのは、
効果をどうアピールするかだ。
「いまはまだ“窓を換えると暖かくなる”ということがあまり認知されていません。
窓ガラスの省エネ効果を、ガラス業界全体でアピールしていきたい」と朝香さんは話している。
《取り付け簡単》
通常のサッシをそのまま使って取り替え可能
《防 露》
-20度以下になるまで結露の発生を抑える
《遮 音》
2枚のガラスの共鳴が無く、遮音効果大
《高断熱》
一枚ガラスの約4倍の断熱性能
《省エネ》
一枚ガラスと比べて約40%省エネ
強い寒気の影響で日本列島は26日、日本海側を中心に大雪が続いた。
気象庁は猛吹雪や暴風などに警戒するよう呼びかけた。
東北の日本海側を中心に大気の状態が非常に不安定で、
竜巻などの突風や落雷にも注意が必要だ。
気象庁によると、北日本(北海道、東北)の上空約5千㍍に氷点下42度以下の寒気が流れ込み、